愛の計画的反抗 [コラム]
計画的な生き方ができるのならば、タフでハードボイルドでロックな人生なんて選ぶ必要はない。それでもしかし、予測不可能な運命に敢然と立ち向かう僕らは、タキシード着たチワワを前にして「ご利用は計画的に」という台詞を思い出している。そうだ計画は大切だ。ペディグリーチャムですら借金して買っちまいそうな勢いだ。もちろん注意が必要なんである。めくるめく理想の未来が胸をときめかせることはあっても、物事はそうそう計画的に進むものではないらしい。わかってるさ。明日何が起きるかなんてわかりはしない。今年中にやっておきたいことがあるなんて、心に決める計画表。僕は白地図のような未来の新大陸に、自分の理想を書き込んだ。「モテる」。あんまりな新大陸だが、そのためにはまず、綿密な計画を立てなければならなかった。
運命や未来、漠然とした将来への不安とゆーものに対して、ウケかセメかで言えば僕はウケだ。うるんだ瞳で「優しくしてね」なんてブッていることは多くても、連中、加減とゆーものを知らないのでサディスティックなハードプレイが連日連夜続いてる。そろそろこっちの番だろう?ロックのイントロが流れ出す。ボーン・トゥ・ビー・ワイルド。やりたいようにやらせてもらうぜ。どうやら以前から暖めていた計画を実行する時が来たらしい。僕は運命に立ち向かう者特有の、決意した表情でクローゼットをぶち開けたのであった。
「そんなワケで計画的にモテてみようと思う」「何か悪いもんでも食ったのか?」「いきなりご挨拶だな。僕のスーツ姿がそんなに珍しいか?」「いや何事かと思ったんだ」「まぁ聞いてくれよ。いいか、計画としてはこうだ。昨今の女の子ベイベーはスーツのパリッとした姿に弱いと聞くぜ。普段ちゃんとしてないヤツが出るとこ出たら素敵みたいな、醜いあひるの子効果までも狙った二段構えの秀逸な作戦だ。そこでケンシロウみたいに言ってやるのさ。お前はすでにメロメロになっている。どーよ?!完璧じゃん?!」作戦名は明るい家族計画である。
親愛なる友人に生暖かく見送られ、満を持しての出撃だ。
早速女の子ベイベーが驚いていた。
「うあーどーしたのスーツなんか着ちゃって」
僕は精一杯渋い声でこう言ってやったってワケさ。
「惚れるとヤケドするぜ」
女の子ベイベーが言った。
「まるでうだつのあがらない窓際のサラリーマンのようだわ」
そーいやぁ、昔デートの前の日に色々計画立てたけど一個もうまくいかなかったっけな。
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スーツ着てたらいいってもんでもないらしい
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